今日は、Los Angelesで開催されていたOUTFESTに遊びに行ってきました!
わたくしが観たプログラムは、ガールズ短編集。様々なテイストの7つのショートフィルムを堪能してきました。今回は初々しいファーストラブ系の作品はあまりなく、ある程度「大人」の作品が多かった気がします。といっても、ノンケの彼女を好きになるというクラシックな話や、破局とそれを支える友情をコミカルに描いた爽やかな後味のコメディ(You move me, Cried Suicide)、人工授精を計画するレズビアンカップルと精子提供者との微妙な関係を描いたもの(Birthday)、異文化で生きる移民の生活を描いたもの(Cecilia)、中には、主人公がおそらくレズビアンだろうという以外には、まったくセクシュアリティやロマンスをとりたてて描かないような作品(Clean)も見受けられました。「キャラクターがレズビアンである!」というだけでそれが大きなトピックとなった時代はもはや過ぎ去り、「キャラクターがレズビアンである。それでどんな話なの?」というのが問題になってきているというのを改めて感じました。また、以下はOutfestで上映される映画、特にガールズ系の映画全般に言えることですが、その中でも、ショートフィルムは、インディ色がより強く、そういう点でも、商業ベースの上映ではなかなか見られない作品が多かったので、インディ系映画ファンにはたまらない場だったと思います。今回の上映のあとには、3人の監督が質疑応答を行ないました。
これらはパーソナルなプロジェクトとして作成したものが多いので、彼らが日常的な経験の中からいかにアイディアを得るか、それを以下にいかに具体的な脚本に創り上げるのか、いかに資金やクルーを集め、どれくらいの準備を経てこれらのフィルムを創り上げたのかという話を聞くことができ、とても興味深かったです。
司会者もフィルムメーカーということで、ファンディング(資金集め)の重要性と困難を力説していました。いつも、映画祭においては「もっとガールズ系のフィルムを見たい」という要望があるのですが、なぜそれが少ないかというのには理由があり、映画を作るにはコストがかかるからなのです。
機材やソフトウェアなどの発達で、以前より低予算で映画が作れるようになったものの、もしも人件費などに対し「フェア」な報酬を支払い、寄付された機材などをすべて購入していたとしたら、5分、10分の映画ですら、5万ドル程度はかかってしまうそうです。
それをカバーするために、 様 々な助成金に申し込んだり、昼間の仕事で貯金したり、友達や家族からサポートを受けたりしているそうです。また、映画業界にいる者同士で、まだプロフェッ ショナルとして経験を積んでいないアマチュアのネットワークを使うことが非常に大事で、彼らは経験あるお互いのプロジェクトを無料で手伝い合うということ がとても大事であり、それなしには、プロジェクトをやりとげることは不可能だと言っていました。
女性の平均収入は、未だ男性より低く、彼らが映画やカルチャーをサポートするために使えるお金も少ないのが現状です。だからこそより強くコミュニティ内で「我々のカルチャーをサポートしよう!」と意識を持たせないと、商業ベースに乗らない映画は存続することが難しいそうです。私も自らにできることは限られていますが、自分にできる役割を果たそうと思いました。
【Cecilia】中米からアメリカに移民してきたシシリア。夫は英語を話せるのに、自らはスペイン語しか話せない。英語を勉強したいと思っているが、誰も教えてくれない。英語の読み書きができないせいで、生活は不便。ある日同じく中米出身のパティと出会い…。
監督のEmily Ray Reese。NY在住。自らのエルサルバドル滞在をきっかけにこの映画の着想を得たと言います。個人的には、私は自分も移民であり、英語のバリアーというのを感じることがありますし、中南米からの移民問題などに興味があるのでとても興味深かったです。この映画の中で、夫は一貫してとても優しいのですが、そうやって妻に大してプロテクティブでありすぎることは、意外と妻をひとりの人間として扱っていないことを示すのかなーなどと思いました。
【You MoveMe】ブッチ同士の友情を描いた映画。別れた友達が、元カノの家から引っ越すのを手伝う親友。はたして計画通りに行くのか?クラシックで笑えるビアン系コメディ。
Gina Hirsch監督。フルタイムで昼の仕事をしながら、貯金して映画を作っている。現在は、ダンスをテーマにした次回作を編集中。
【Public Relations】アシスタントとして働く二人。一人はNYで働いていたのだが、LAに引っ越すことになり、それまで2年間電話では会話をしていたが、とうとう顔を会わせることになり…。
Gianna Sobol監督と主演女優Sienna Farall。
監督自身、脚本家のアシスタントとして毎日忙しく働いており、その経験から得た「クレージーなボス」や「電話だけで知り合いのアシスタント」という要素がこの映画に生きているそうです。
この「Public Relations」はかなり素晴らしかった。話がコンパクトで、起承転結がはっきりしているし、特に主役の二人、Summer BishilとSienna Farallの演技はすごかったなーと思います。ただ、アシスタントという職業がピンとこないというのと、アシスタントにとっては、アシスタント同士電話でいつも話すのに、実際会ったことがないというのはよくあるケースらしいのですが、アシスタントではない私にはその設定もピンとこなかった。そういう設定が邪魔をして、前半私にはちょっとつかみづらかったのだが、後半とってもよかった。二人が実際会ってからの二人のすれ違いや、戸惑い、そこから気を許していく様子…二人の演技が自然で、そしてキュートでした。ちょっと分かりづらい設定や無理めなストーリーラインを彼らの演技が見事にカバーしてました!また彼らの雇い主である脇役たちのキャラクターも、エッジがたっていて面白かったです。
また、他の作品もとても面白かったです。それらの紹介や、インタビューができたら将来ポスト致しますのでお楽しみに。これらは来年以降、日本の映画祭でも観ることができる可能性もあるので、チェックしてください。